巡回指導項目別解説       第1回 「事業計画の変更等の確認」

現場で使える 巡回指導“実践”対策ファイル
第1回 「事業計画の変更等」の確認

営業所・車庫・休憩施設…すべてが"申請通り"になっていますか?

貨物自動車運送事業者にとって、避けて通れないのが「巡回指導」。 巡回指導のポイントを数回に分けて詳しく解説していきます。 第1回目は「事業計画等」に関する届け出内容が、現在の運営実態ときちんと一致しているかの確認について解説します。

事前確認:許可取得後の事業計画の変更による認可・届出

新規で経営の許可を受けた後、各種変更があった場合には認可、届出を行わなければなりません。これを怠ると行政処分の対象となる可能性があります。

事業開始後の主な認可・届出が必要な事項

変更事項 手続き種別
営業所の新設・廃止 認可
車庫の位置・収容能力の変更 認可
休憩睡眠施設の位置・収容能力の変更 認可
事業の譲渡 認可
営業所に配置する車両数 事前届出
主たる事務所の位置の変更 事後届出
営業所の名称 事後届出
役員の変更 事後届出
本店住所の変更 事後届出
社名変更 事後届出

巡回指導項目 Ⅰ.事業計画等

1. 主たる事務所及び営業所の名称、位置に変更はないか

  • 主たる事務所の名称 事後届出
  • 主たる事務所の位置 事後届出
  • 営業所の名称 事後届出
  • 営業所の位置 認可 ※認可は当然事前申請

確認すべき帳票

  • 登記簿謄本
  • 経営許可申請書
  • 事業計画変更認可申請書(行政受領印あり)

認可、届出が適正にされているかを確認します。

2. 営業所に配置する事業用自動車の種別及び数に変更はないか

増車・減車(原則 事前届出

複数の営業所があり、所属車両を変更する場合や事業所ごとの増車・減車は事前の届出が必要です。

以下の場合は認可が必要となります:

  • 最低車両台数5台を下回る場合
  • 法令遵守が十分でないおそれがある場合
  • 一定規模以上の増車の場合

確認すべき帳票

  • 経営許可申請書
  • 事業計画変更事前届出書
  • 車両台帳
  • 点呼記録簿
  • 運転日報
  • 車検証

届出された種別・台数に変更はないかを確認します。

3. 自動車車庫の位置及び収容能力に変更はないか

  • 車庫の位置の変更 認可
  • 収容能力の変更 認可

位置・収容能力に変更はないか確認します。荷主先に常時駐車したり、自宅に車両を持ち帰っていないかなどを確認します。

確認すべき帳票

  • 経営許可申請書
  • 事業計画変更認可申請書

指摘例

  1. 車庫として認可をうけている部分が資材置場になっている。
  2. 利便性の都合として駐車位置がいつの間にか変わっていた。

4. 乗務員の休憩・睡眠施設の位置、収容能力は適正か

5. 乗務員の休憩・睡眠施設の保守、管理は適正か

  • 休憩・睡眠施設の位置 認可
  • 休憩・睡眠施設の収容能力 認可

位置、収容能力に変更がないか確認します。常時使用できるように整理整頓されているかも確認します。

(睡眠の必要の無い事業所の場合は睡眠設備(ベッド)や広さ要件は不要です)

確認すべき帳票

  • 経営許可申請書
  • 事業計画変更認可申請書

指摘例

  1. 倉庫などに使用していて休憩施設として機能していない。
  2. 開始時はパーテーションなどで区切っていたが、区切りがなくなっている。

6. 届出事項に変更はないか(役員・社員、特定事業者に係る運送の需要者の名称変更等)

※本社巡回に限る

役員の変更 事後届出

(代表権のある役員変更、特定事業者の名称変更は変更後1週間以内に届出)

確認すべき帳票

  • 事業概況報告書
  • 登記簿謄本
  • 役員変更届

届出した役員と現在の役員に変更がないか確認します。

7. 自家用貨物自動車の違法な営業類似行為(白トラの利用等)はないか

確認すべき帳票

  • 総勘定元帳
  • 経費明細書
  • 点呼記録簿
  • 運転日報

「白トラ」を保有し営業行為をしていないかを確認します。

8. 名義貸し、事業の貸渡し等はないか

確認すべき帳票

  • 固定資産台帳
  • 経費明細書
  • 保険関係加入台帳
  • 点呼記録簿
  • 運転日報
  • 賃金台帳
  • 車両台帳

事業所の登録車両にもかかわらず他人に使用させているいわゆる名義貸し行為がないかを確認します。

まとめ

営業所・車庫・休憩施設などは、一度届け出たら終わりではありません。実態が変わったら届出や認可が必要な場合もあり、気づかないうちに"違反状態"になっていることも少なくありません。

今一度、原点に立ち返って自社の現状を見直すことがたいせつです。

無認可・無届けは行政処分の対象になり、経営に重大なリスクをもたらします。どのような事でどのような手続が必要になるのかを正確に把握し、適切に対応することが求められています。