車両台帳の作成については、法令上で明示的な義務規定はありませんが、貨物自動車運送事業者は、貨物自動車運送事業輸送安全規則(第3条の3)により、事業用自動車ごとに点検基準の作成、定期点検・整備の実施、ならびに点検整備記録簿の作成・保存が義務付けられています。これらの義務を確実に履行し、各車両の状態や整備履歴を一元的に管理する手段として、「車両台帳」の整備は実務上強く求められており、巡回指導においても『車両台帳が整備され、適切に記入されているか』が確認項目の一つとなっています。
法令の確認:貨物自動車運送事業輸送安全規則3条の3(点検整備)
「貨物自動車運送事業者は、道路運送車両法の規定によるもののほか、事業用自動車の点検及び整備について、次に掲げる事項を遵守しなければならない。 一 事業用自動車の構造及び装置並びに運行する道路の状況、走行距離その他事業用自動車の使用の条件を考慮して、定期に行う点検の基準を作成し、これに基づいて点検をし、必要な整備をすること。 二 前号の点検及び整備をしたときは、道路運送車両法第四十九条の規定に準じて、点検及び整備に関する記録簿に記載し、これを保存すること。」直接ではないが実質的に管理が求められている
車両台帳の作成
記載すべき項目
① 自動車登録番号
② 初度登録年月
③ 形式
④ 車名
⑤ 車台番号
⑥ 自動車の種別
⑦ 最大積載量
⑧ 車両総重量
⑨ 自動車検査証の有効期間
⑩ Nox・PM法使用車種規制に係る事項
⑪ 基準緩和車両に係る事項及び配属営業所
⑫ 自賠責保険にかかる事項
管理方法のポイント

車両台帳の代わりに車検証と自賠責保険証の写しを保管

車検証の写しの保管でも有効、ただし・・・
車両台帳の代替として、車検証および自賠責保険証の写しをセットで保管する方法も有効です。ただし、電子車検証(A6サイズ)の場合は記載情報が簡略化されているため、QRコードを読み取り「自動車検査証記録事項」を出力し、あわせて保管しておくようにしましょう。
巡回指導の対策
巡回指導では「車両台帳が整備され、必要な記載事項が最新の状態で記入されているか」が確認されます。台帳の記載に必要な情報は、車検証および自賠責保険証の写しがあれば十分です。ただし、電子車検証の場合は記載項目が省略されているため、QRコード「自動車検査証記録事項」を出力して一緒に保管しておきましょう。3か月・12か月点検記録簿も併せて管理しておくと実務上スムーズです。
車検証(電子車検証の場合は「自動車検査証記録事項」)、自賠責保険証に加え、3か月・12か月点検や車検整備の記録簿と管理簿を適切に保管し、常に最新の情報が記載されている状態を維持しましょう。
「※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。」